
2024年に読んだ本で心に残った10冊をまとめてみた。2021年からなんとなくまとめている。1年振り返ると、意外に無意識の思考傾向が出てきて面白い。読書メーターのおかげでセレクトしやすくなった。
読書メーターに感謝。
2021年〜2023年の心に残った本たち。
2024年に心に残った10冊!
『百年の孤独 』ガブリエル・ガルシア=マルケス
2024年の超話題作。私のガルシア=マルケス初体験。なんとなくホテルニューハンプシャーの1万倍濃厚な内容に感じられた。 主役の一族を呪われたとは思わず、親戚くらいの気持ちで読み耽った。
私は初代ウルスラが家を守る陽気さ、粘り強さに惹かれた。 ラストは驚いたけど予想できたので納得感。 なお、文庫版冒頭についてる家系図があれば似た名前で惑うことはないし、作品的に多少惑っても問題なし。
2023年はサラゴサ手稿。2024年は百年の孤独。幻想的な小説を読んでいるなぁ。
『日本精神史(上)』『日本精神史(下)』長谷川 宏
軽い気持ちで読み始めたが、平安時代後半から鎌倉時代に入るあたりから強烈に面白くなった。 日本精神が動き出したという感じ。上巻を読み終えて振り返ると、まさに日本精神史だなと実感。 様々な遺物について見方が変わるだろう。
そしてほぼ1年かけて「日本精神史」上下巻1200ページを読了。 縄文遺跡から江戸時代末期の「東海道四谷怪談」までの「日本」精神との長い旅をともに歩き切った。 深い感銘というのだろうか。 不思議な感覚だ。
『南無阿弥陀仏: 付心偈 』柳 宗悦
天神橋筋商店街の天牛書店で入手した一冊。京都では身近な浄土真宗を知りたくて読んだが、「南無阿弥陀仏」を軸に法然>親鸞>一編とラディカルに突き詰めていく思想史に惹きつけられた。挿入される法然、親鸞、一編の文章や問答を見ると、市井の人たちに鍛えられた確かさを実感した。
本書が書かれたのは昭和27年にもかかわらず、宗教が遠くなった現代だからこそ響く仏教思想入門では。この一冊で法然に強い関心を持ち、「法然の衝撃」「選択本願念仏集」まで読み進めることに。
京都国立博物館の法然展も興味深かった思い出。
『幕末百話 増補』篠田 鉱造
幕末江戸の生活を聞き書きした一冊。 出たのは明治末でぎりぎり江戸の話を聞ける頃とのこと。 さまざまな階層の名もなき庶民の話は文章の味もあって読み耽った。 美味しい店なんて情景が浮かぶよう。 江戸の人たちは元気で好奇心満々。文庫で増補された「今戸の寮」は隅田川をゆく舟が印象的。 老婆の語り口に引き込まれた。ひたすら美しい。
『増補 文明史のなかの明治憲法――この国のかたちと西洋体験』瀧井 一博
明治憲法が発布後、西欧から評価されたのは知らなかった。また憲法を作るために素朴なところから高度なところまで知見を集め、伊藤博文が仕上げたのは惹きつけられた。 明治憲法に先立ち行政を整備して、憲法を推進する受け皿を用意した組み立ては、企業運営にも参考になる。 私は創業経営者なので本書を中小企業の承継の視点で読んだが、終始参考になることが多かった。 変な読み方だが。
『関西華僑の生活史』
神戸を中心に戦前からの華僑の人たちの生活史がさまざまに語られる。阪大大 震災以前から発災直後まで神戸に住み、学び、働いた個人の記憶の神戸が蘇るようだった。 もちろん幻想もあるのだが。 神戸の街を作ってきたのは間違いなく華僑の方々の関わりが深いことを知ることができた。
『中国農村の現在-「14億分の10億」のリアル 』田原 史起
中国の大半を占める10億人の農民を現実。知らないことだらけ。そして胸落ちする展開。 そもそも中国の政体をわれわれの民主政との比較で安易に批判するのが良いのか?についても考えさせられた。 習近平体制の進展に伴い、筆者が農村への住み込み調査は「できなくなった」そう。 本書タイトルは「中国農民の現在」だが2010年代初頭までの研究成果のようだ。 コロナ禍の封鎖態勢が影響を与えたのかどうか。 より知りたいと感じた。
『開城工団の人々 毎日小さな統一が達成される奇跡の空間』キムジニャン
「開城工団の人々」を読了。 「語り手のうちの一人から「作家さん、この本よりも(北朝鮮の労働者達の)下ネタ集を作った方がもっと売れると思います」と提案されたのですが、ホント、イカした企画になるかもしれません。」 〜「開城工団の人々」より ※()は私が補足
私たちは北朝鮮の人たちが働く現場の日常すら知らないんだよなぁ。 この本で綺麗事でなく南北の人たちが一緒に働く現場で、結局、相互尊重に落ち着く様が現実的だと実感できた。未来に参照される歴史を記録した一冊。
『金正恩の「決断」を読み解く;変わる北朝鮮と東アジアへの衝撃』鄭 旭湜
トランプ、文在寅との交渉後、金正恩はどう判断したか? 先軍政治から先経政治へ移行するための核、ミサイル?? などなど日常的に眼にする北朝鮮に関する記事の読み方の幅を広げる一冊。韓国とは別の国として北朝鮮が明確に歩み出した現在。この一冊を読んでおくと、東アジア情勢に関するニュースの見通しよくなること確実。それでも「開城工団の人々」での可能性は喪失していないと思うのはナイーブすぎるだろうか。
2025年はどんな本を読むだろうか。本を読まない人生はあり得ないので多読ではないけど、色々な本に出会っていきたいな。ここの書かなかった本たちも楽しい経験に感謝。











