【205本目】2024年心に残った本10冊。

2024年に読んだ本で心に残った10冊をまとめてみた。2021年からなんとなくまとめている。1年振り返ると、意外に無意識の思考傾向が出てきて面白い。読書メーターのおかげでセレクトしやすくなった。
読書メーターに感謝。

→私の読書メーターマイページ

2021年〜2023年の心に残った本たち。

2024年に心に残った10冊!

『百年の孤独 』ガブリエル・ガルシア=マルケス

2024年の超話題作。私のガルシア=マルケス初体験。なんとなくホテルニューハンプシャーの1万倍濃厚な内容に感じられた。 主役の一族を呪われたとは思わず、親戚くらいの気持ちで読み耽った。

私は初代ウルスラが家を守る陽気さ、粘り強さに惹かれた。 ラストは驚いたけど予想できたので納得感。 なお、文庫版冒頭についてる家系図があれば似た名前で惑うことはないし、作品的に多少惑っても問題なし。

2023年はサラゴサ手稿。2024年は百年の孤独。幻想的な小説を読んでいるなぁ。

『日本精神史(上)』『日本精神史(下)』長谷川 宏

軽い気持ちで読み始めたが、平安時代後半から鎌倉時代に入るあたりから強烈に面白くなった。 日本精神が動き出したという感じ。上巻を読み終えて振り返ると、まさに日本精神史だなと実感。 様々な遺物について見方が変わるだろう。
そしてほぼ1年かけて「日本精神史」上下巻1200ページを読了。 縄文遺跡から江戸時代末期の「東海道四谷怪談」までの「日本」精神との長い旅をともに歩き切った。 深い感銘というのだろうか。 不思議な感覚だ。

『南無阿弥陀仏: 付心偈 』柳 宗悦

天神橋筋商店街の天牛書店で入手した一冊。京都では身近な浄土真宗を知りたくて読んだが、「南無阿弥陀仏」を軸に法然>親鸞>一編とラディカルに突き詰めていく思想史に惹きつけられた。挿入される法然、親鸞、一編の文章や問答を見ると、市井の人たちに鍛えられた確かさを実感した。

本書が書かれたのは昭和27年にもかかわらず、宗教が遠くなった現代だからこそ響く仏教思想入門では。この一冊で法然に強い関心を持ち、「法然の衝撃」「選択本願念仏集」まで読み進めることに。
京都国立博物館の法然展も興味深かった思い出。

『幕末百話 増補』篠田 鉱造

幕末江戸の生活を聞き書きした一冊。 出たのは明治末でぎりぎり江戸の話を聞ける頃とのこと。 さまざまな階層の名もなき庶民の話は文章の味もあって読み耽った。 美味しい店なんて情景が浮かぶよう。 江戸の人たちは元気で好奇心満々。文庫で増補された「今戸の寮」は隅田川をゆく舟が印象的。 老婆の語り口に引き込まれた。ひたすら美しい。

『増補 文明史のなかの明治憲法――この国のかたちと西洋体験』瀧井 一博

明治憲法が発布後、西欧から評価されたのは知らなかった。また憲法を作るために素朴なところから高度なところまで知見を集め、伊藤博文が仕上げたのは惹きつけられた。 明治憲法に先立ち行政を整備して、憲法を推進する受け皿を用意した組み立ては、企業運営にも参考になる。 私は創業経営者なので本書を中小企業の承継の視点で読んだが、終始参考になることが多かった。 変な読み方だが。

『関西華僑の生活史』

神戸を中心に戦前からの華僑の人たちの生活史がさまざまに語られる。阪大大 震災以前から発災直後まで神戸に住み、学び、働いた個人の記憶の神戸が蘇るようだった。 もちろん幻想もあるのだが。 神戸の街を作ってきたのは間違いなく華僑の方々の関わりが深いことを知ることができた。

『中国農村の現在-「14億分の10億」のリアル 』田原 史起

中国の大半を占める10億人の農民を現実。知らないことだらけ。そして胸落ちする展開。 そもそも中国の政体をわれわれの民主政との比較で安易に批判するのが良いのか?についても考えさせられた。 習近平体制の進展に伴い、筆者が農村への住み込み調査は「できなくなった」そう。 本書タイトルは「中国農民の現在」だが2010年代初頭までの研究成果のようだ。 コロナ禍の封鎖態勢が影響を与えたのかどうか。 より知りたいと感じた。

『開城工団の人々 毎日小さな統一が達成される奇跡の空間』キムジニャン

「開城工団の人々」を読了。 「語り手のうちの一人から「作家さん、この本よりも(北朝鮮の労働者達の)下ネタ集を作った方がもっと売れると思います」と提案されたのですが、ホント、イカした企画になるかもしれません。」 〜「開城工団の人々」より ※()は私が補足
私たちは北朝鮮の人たちが働く現場の日常すら知らないんだよなぁ。 この本で綺麗事でなく南北の人たちが一緒に働く現場で、結局、相互尊重に落ち着く様が現実的だと実感できた。未来に参照される歴史を記録した一冊。

『金正恩の「決断」を読み解く;変わる北朝鮮と東アジアへの衝撃』鄭 旭湜

トランプ、文在寅との交渉後、金正恩はどう判断したか? 先軍政治から先経政治へ移行するための核、ミサイル?? などなど日常的に眼にする北朝鮮に関する記事の読み方の幅を広げる一冊。韓国とは別の国として北朝鮮が明確に歩み出した現在。この一冊を読んでおくと、東アジア情勢に関するニュースの見通しよくなること確実。それでも「開城工団の人々」での可能性は喪失していないと思うのはナイーブすぎるだろうか。

2025年はどんな本を読むだろうか。本を読まない人生はあり得ないので多読ではないけど、色々な本に出会っていきたいな。ここの書かなかった本たちも楽しい経験に感謝。

【203本目】最近、気づくと古本ばかり読んでいる。

私にはいつも本を数冊は同時に読み進める癖がある。

1冊だけ読んでいると煮詰まるような感覚になるから。

ふと手元を見ると、今読みかけの本達は1冊を除いて全て古本であることに気づいた。
こうなった理由を考えてみると・・・

  • 今年複数回行った古本まつりで仕入れた本達を順番に読んでいるから。
  • 平日の自分の行動範囲に新刊書店がないから。
  • 平日の自分の行動範囲に質の良い古書店が複数あるから。

だろう。

休日に丸善に行くのは、目当ての本があることがほとんどで、古本まつりのように何冊も衝動買いはしない。だから丸善に行かなければ新刊を読むことがない。 また会社の近所には質の高い古書店が2~3店舗あり、昼休みに除いてちょこちょこ古本を買ったりする。

住んでいる町には幸い個性的な独立系書店も大型書店もあるので新刊が遠のいた感じはないが、これは幸運な環境だろう・・・

結局、手元に積読されている古本ばかり読む日常になっている。

【202本目】2024年古本まつり参加の思い出と購入本

2024年古本まつり参加と購入メモを振り返ってみた。
今年は古本まつり巡りをできるだけやってみようと、Googleカレンダーに登録して計画を立てた。

テントに出された無数の本棚を見て周り、帰り道では購入した本を眺めながら一杯やる。
そんな古本まつり巡りは私の趣味になりそうな感じもある。

4月
四天王寺古本まつり

  • 「復興期の精神」
  • 「南無阿弥陀」
  • 「雪片曲線論」
  • 「世界不思議百科」

8月
下鴨納涼古本まつり

  • 「瀬島龍三回想録 幾山河」
  • 「カリスマ 中内功とダイエーの戦後」
  • 「開城工団の人々」

11月
えべっさん古本まつり

  • 「幕末百話」
  • 「ソヴィエト旅行記」

百万遍知恩寺古本まつり

  • 「法然の衝撃」
  • 「選択本願念仏集」
  • 「東洋民権百家伝」


2025年はもう少し古本まつり巡りを広げたいな。
神田の古本まつりとか遠征もしてみたい!

【181本目】糺の森の納涼古本まつり初日に参加

コロナ禍中に初めて参加した糺の森で開催される納涼古本まつり。
その後、毎年参加しているけど、なぜかいつも最終日ばかりだった。

今年は仕事の段取りを付けて初日から参加。
完全にポストコロナでの開催になり、本当にすごい活気だった。

全ての出展を丁寧に見るつもりだったので、今回はソロ参加。
嫁さんを猛暑の中、待たせるのは悪いし、自分も気を遣うので。

じっくりと見て回ったが、木陰の中のせいか暑さはましだった。
が、蒸し暑さはしっかりと身体に響いてくる。
魔法瓶ボトルで持参した冷水を呑みながら見て回った。

全て見て回るとちょうど2時間半くらいだった。
私の見方だとそんなもんか。

購入したのは3冊。
瀬島龍三回想録 幾山河」300円

カリスマ 中内功とダイエーの戦後」200円

開城工団の人々」500円

個人の視点から歴史を知り、考える本ばかり今回は購入した。
たった3冊なのに重かった・・・

古本まつりを見終わると、急に空腹に。
叡山電鉄の出町柳駅まで歩き、ジャズ喫茶のおいしいカレーをいただいた。


幸せな時間を過ごすことができた。
私は古本まつりが好きなんだなぁと実感。

【164本目】2023年心に残った本たち。

読書量は多くはないが、心に残った本はブログに残している。あとから振り返ると時代や私の情勢を反映している気もする。分析まではしていないが。

2023年の心に残った本をテーマと読んだ時期別の並べておこう。未来の自分に向けて。見出しのテーマは何となくおお掴みなのはご容赦ください。

重苦しい世界編

1月にこの本を読んだ。香港の騒動があり、もう深圳には行けないなと感じたりしていた時期。
サブタイトルの21世紀「中華」圏の政治思想を知りたくて読み出したが・・・ユーラシア大陸の復権と梅棹忠夫の「文明の生態史観」を知ったことのほうが大きな収穫だった。

1950年代に書かれた文章にも関わらず、2023年現代を語っているかのような文章に驚く。 軽快な文章にも関わらず、鋭い切り込みと仮説に引き込まれた。今、改めて使える見立てなのではないか、、、 と読了後に読書メーターに書きつけたが・・・この時、2023年が想像以上にユーラシアの時代になるとは思ってもみなかった。

様々な軍人、政治家が出てきて、様々な思惑で自国のために動くが、戦争は始まる。 また自国を守るために手を打てば打つほど、戦争に発火すると燃え上がる。それはもはややむ得ない矛盾だろうか。 上巻では、まだ本格的な会戦、有名な塹壕戦は始まっていない。ただ、兵士の命を消耗する戦い方が開始される。経済的関係によるコストへの恐れだけでは、戦争抑止には不十分だと感じた。

希望の哲学編

昨年読んだ「チョンキンマンションのボスは知ってる」に続く小川さやか先生の2冊目。
本作に出ている「ウジャンジャ」は我々の日常でもあるはずだけど、「良くないことだ」としてしまってる気がした。 その考え方が息苦しさもたらしているかもと。
経済自由化、市場経済の中、小売商、卸売商同士が、互いのことをまともに知らず、口約束で日々の商売をやりくりし、持ち逃げもある中で、互いに「支えて合っている」あっていることに驚かされた。
市場経済の希望はそこここにすでにあるのかもしれない。 姿をかえながらとも感じた。

図書館から借りた「出口なお」を2〜3日で一気に読了。 凄惨としか言いようのない人生の苦難から厳しくもゆたかな意味をお筆先を語り続けた出口なお。
著者の社会変化との関わりで客観的な分析の底に、出口なおへの優しい眼差し。
最後の一文を読み、歴史研究本なのに思わず涙が流れた。 不思議な読書体験になった。

毎年、何らかのハイデガーの翻訳本やハイデガー解説本を読んでいるが、今、ハイデガー哲学をタブーなく俯瞰できるのは本書のみではないか。 「野の道」にある「隠された調和」について長く困難なハイデガーの旅路。 引き込まれるようにあっという間に読了した。
再読したい。

物語編

私は小説や架空の話はあまり読まない。しかし「サラゴサ手稿」は分厚い上中下巻にはまり込んだ。
下巻を読み終わった直後の感想。
「ついにサラゴサ手稿の長い旅は終わった。 豊穣な時間を過ごせた。 最後はピタリの複雑で多様な物語は収まった。 解説本を読みたい気分。」
岩波から解説本が出ると期待していたけど・・・残念。
人生の役に立つことはないが、絶対に豊かにしてくれる作品だ。

まとまらないまとめ

2023年はアフターコロナが約束された明るい1年だと期待したが、総じて暗い影が全世界にのしかかり続けた印象。それはユーラシア大陸の復権、戦争とも繋がる気がして前半にそういう本を読んだが、予想通りか・・・ただ、個人や仲間が生きていく可能性もまた本には多様に展開されている。

2023年のピックアップした本たちを眺めてそんなことを思う。
2024年はどんな本を読むのだろう。

【163本目】無人書店「ほんたすためいけ」感想

「ほんたすためいけ」を東京出張ついでに視察した。
2018年に深圳で無人コンビニがたくさん開店した時も自腹で見に行くくらい無人店舗が好きなんだよな。

なぜかはよくわからないけど、無心店舗になればなるほど、仕組みや貼り紙などに人間臭さを感じるからかもしれない。

さて、「ほんたすためいけ」は入店には会員登録が必要。
事前にLINEミニアプリで会員登録済みだったのでカメラにかざすと、すぐに入店できた。

会員登録はLINEミニアプリだが、LINEが入ってないスマホないだろうし、会員登録は氏名くらいなので、その場でも即会員登録することもストレスはない。

書店内は小さいけど、軽く手に取りたい本がぎっしり。コミック、ビジネス書、新書、話題本、文具などふらっと書いそうな品揃え。棚には手書きホップが各所にあり、無人店舗感は希薄になってる。

購入は2台のセルフレジ。よく見かける感じのやつ。当然、現金決済はなし。

「ほんたすためいけ」に初めて入店したけど戸惑うことがない。
すでにコンビニやスーパーで経験してる無人購買体験が身についてるんだなと実感。

各所に後張りの注意喚起貼り紙があるので、いろんな反応を集めて微調整してるんだろう。

箱として店の仕組みは完成してるから、つまりは品揃えと棚作り、集客の工夫に尽きるのかな?となると当たり前の課題に返ってくるんだよな。

深圳で見た無人コンビニでも結局、お客さんには無人化動画より品揃えが納得できるかなんだよな(しょぼい店が多かった)ことを思い出した。

【159本目】Bloggerで「独りで酒と飯と本。時々、猫。」をはじめてみる。

Xから遠のく結果、最近の「テキストつぶやき」がThreadsメイン。Threadsは文字数制限が数百文字なので、少し長くなると、ブログ投稿の原案みたいになる時もある。Threads投稿がインスピレーションとなって、このブログへ投稿になるケースも増えてきた。

→カワサキゴロウのThreads

一方、「フォトつぶやき」はInstagramとかThreadsとかFacebookとか特に決まっていない。
ただ、フォトつぶやきは後から写真を見返す楽しみも大事にしたい。Instagramでもいいんだけど、見返すなら「フォト&テキストつぶやき」で一覧見返したい。

という特殊な好みを実現するために新しいブログを始めることにした。

→「独りで酒と飯と本。時々、猫。」

このブログ「alt_life51」はWordPress.comに51歳の時に開設。2000年代初頭から書き綴っているブログ記事をまとめた。雑記系なので、私的な人生記録みたいになっていて、今更方向性を変えづらい。

そこで新しく「フォト&テキストつぶやき」中心のブログを開設することにした。新しいブログを開設するなら「どのサービスで?」というのが最初の課題。

なんとなくブログサービス最古参のBloggerが頭をよぎった。
メール投稿できるのがいちばんの選択理由。

立ち飲み屋から飲みながらでも気軽に下書き投稿できるのがいい。

そこで土曜夜にちまちまと設定してみた。Bloggerはブログの見た目を設定するテーマがイマイチ。と言われ続けてて、久しぶりに触っても状況はあまり変わっていない。

ただ、すでにスマホファーストの時代になってるから、テーマの重要性は相対的に下がってる気がする。 あくまで個人ブログをやるなら。 という前提では。

というわけで「独りで酒と飯と本。時々、猫。」をやってみる。

→「独りで酒と飯と本。時々、猫。」

【146本目】読書メーターの感想を活かすかな?

このブログは一生続けるつもりで不定期に投稿を長年続けている。
とはいえ、ネタがそれほどあるわけでもなく、モチベーションもどんどん湧くものでもなく。

とはいえ、X、Mastodon、Threadsには書き散らしており、文章を書きたい自身のリソースが分散していることは知っている。

それでも昔、自分が書いたブログ投稿にハッとすることもあるので、やはり続けたいなぁ。とMarsEditが5にメジャーアップデートしたとの記事を見て、改めて思った。
(MarsEditのアップデートは見送るが・・・)

そこで自身が好きな文章を書いている先を考えてみると、読書メーターがあるではないかと気づいた。

読書メーターもだらだらと続けており、読了した本で感想を書きたくなると短文を投稿している。

https://bookmeter.com/users/154099

この中からピックアップして、定期的にこのブログへ転記するのはありだ!と気づいた。

手抜きだが。

【145本目】本の影響は何年も経ってから気がつくという確信

経営者目線で哲学、社会学、ドキュメンタリー、批評など雑多に読む。
読了後、「この本の内容よかったな。経営にいつか活かしたいなぁ。」と考えることもある。

本の内容について「良いな」と感じたことが、理論だと相応は無理と思ったり、分析事例が自社とかけ離れてると感じることが普通。

ただ、最近気付いたことがある。

自社について「良くなったなぁ」と実感した時、既視感があることに。

既視感とは数年前、十年前に読んだ本の内容だったことに気付く機会があるのだ。
それも実現が困難だったことほど、かつて読んだ本の影響を実感するのだ。

自分の体験しか信じない人もいるが、平凡な自身の能力を超えていく最もコスパもタイパも良いのは「読書」しかないのだろうと確信している。
確信まで時間がかかったが。

【129本目】「ハローユーラシア」から「文明の生態史観」へ旅をする。

ユーラシア大陸が騒がしいよね

中国の一帯一路による大陸規模の経済政策や武漢発と言われるCovid-19からゼロコロナ政策。

さらに 2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻。その仲介役としてトルコが活躍。

またアメリカ中心の中国包囲網への距離感やロシアへの直言でインドへの注目。

なんだかここ数年、ユーラシア大陸全体が騒がしく、歴史を動かしているなとぼんやり考えていた。

「ハローユーラシア」を書店で発見。Kindleで購入。

丸善京都店で本棚を見ている時、目に入ったのが「ハローユーラシア」というキャッチーなタイトルだった。その時は買わず、帰宅後にAmazonを見ると、

帝国化する中国、香港の苦境、深刻な国家対立

ウイグル弾圧、一帯一路構想――

イデオロギーとしての”ユーラシア” が

あなたの世界認識を変える。

という宣伝文句。ぼんやりとひっかかっていた「ユーラシア」について知れるかも!とKindle版を購入した。

ユーラシアとはいうものの中国を軸に記述が広がっていくのだけど、21世紀以降の中国、香港の思想と社会の動向のリンク。 中国ではポスト共産主義として新儒教思想の勃興。 香港では、ポリス国家して存在可能性の思考。 知らないことだらけだったので、刺激的だった。

ユーラシア大陸を見るなら「文明の生態史観」が使えるらしい

「ハローユーラシア」内に現状の見方として「文明の生態史観」について何度が出てくる。

割とキーコンセプトだとわかった。ただ、「文明の生態史観」の書名は古典として聞いたことはあったが、全く興味なく手に取ったこともなかった。

Amazonでの「文明の生態史観」の宣伝文句は

戦後日本人が提示した、最も独創的で最も重要な世界史理論。

あいにくKindle版はないらしいので、そこで丸善京都店でパラパラと立ち読みしてから買ってみた。

1950年代に書かれた文章にも関わらず、2023年現代を語っているかのような文章に驚く。

軽快な文章にも関わらず、鋭い切り込みと仮説に引き込まれた。今、改めて使える物差しではないか、、、と知ることができた。

「文明の生態史観」は物差しとして知っておくのが良い

「文明の生態史観」についてはWikipediaの概要がわかりやすい。

西ヨーロッパと日本は第一地域に属し、その間をなす、広大な大陸部分を第二地域とした。第二地域においては早い時間で巨大な帝国が成立するが、それらは制度などに問題を抱え、没落していくという。逆にその周縁に位置する第一地域においては気候が温暖で、外部からの攻撃を受けにくいなど、環境が安定している為、第二地域よりは発展が遅いものの第二地域から文化を輸入することによって発展し、安定的で高度な社会を形成できるとした。

Wikipedia

この第二地域、第一地域の物差しが、ユーラシアを見るときに使えると思った。

さらに「文明の生態史観」が書かれた1950年代は第一地域は没落後の発展途上の扱いだったが、2023年現在では、全く違う様相だ。

ただ「文明の生態史観」では現在の状況について予言がすでに書かれていることに驚いた。

「第二地域は、将来四つの巨大なブロックの併立状態にはいる可能性がかなりたかいとおもう。中国ブロック、ソ連ブロック、インド・ブロック、イスラーム・ブロックである。(中略)

それらはかつて、かれらが属し、革命によって破壊したところの、むかしの帝国の「亡霊」でありえないだろうか。それぞれ、清帝国、ロシア帝国、ムガル帝国、およびスルタンのトルコ帝国の亡霊たち。」

~「文明の生態史観」梅棹忠夫著より

今回、「ハローユーラシア」から「文明の生態史観」へ読書により知のリンクを辿り、現状を考える力を得ることができた。

私には、これぞ読書の喜びだ。

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