【244本目】エントリーシートがAIに無効化された後に残る評価とは

AIの普及で、採用の現場は大きく揺れている。
かつて「エントリーシートから意欲を読み取る」という、よく考えるとかなり怪しい評価方法が使われてきたけれど、生成AIによってあっさり無効化されてしまった。求職者にしてみればChatGPTに質問を投げれば、もっともらしい志望動機が整った文章になって返ってくる。採用担当者の立場からすると、見かけの言葉で本音や熱意を判別するのは、もう不可能に近い。

さらに本人確認用の写真も、AIの画像生成や修正で「整った顔写真」が簡単に作れてしまう。もちろん完全に別人というわけにはいかないだろうけれど、少し印象を変える程度の加工なら誰でも手を伸ばせる。そうなると履歴書に書かれている住所や学歴、職歴ぐらいしか「生身の証拠」として残らない。ただしこれも、性善説に立つのが現状だ。

当社のようなWeb制作会社の採用だと、これまでも任意提出としてきたポートフォリオがひとつの判断材料になる。実際にどんなサイトを作れるのか、どうデザインするのかがわかるからだ。ただし、AIコーディングに全面的に頼ったポートフォリオは、ぱっと見はきれいでも基礎力の欠如が透けて見えてしまう。依頼者の要望を翻訳して、設計して、実装までやり切るという筋力がないと、プロジェクトを任せるのは難しい。

AIを使いこなすことは、これからどんな職種でも必須の技能になるだろう。効率化のためにも、発想を広げるためにも、AIを味方にする姿勢は欠かせない。ただしそこで終わってしまう人──つまりAIに頼ってばかりで、自分の地力を磨くことを怠る人は、採用する側としてはどうしても不安を覚える。本質的な力を持たないままAIを使うと、結果は「それっぽいけど脆い」アウトプットになってしまうからだ。

では、これからの採用はどう変わっていくのか。AIが当たり前になればなるほど、逆説的に「一発勝負」の評価が重視されるのかもしれない。SPIやコーディング試験、デザイン課題といったものを実際にその場でやってもらう。そこで地力が見えるかどうか。そんな方向に採用の重心が移っていくのだろう。

AIがもたらした変化は、応募者にとっても企業にとっても大きい。
けれど結局のところ、求められるのは昔から変わらない「自分の力で最後までやり切る」ことなのだろう。

【239本目】AIと志望動機と自分らしさ

この前、面接準備をしていて、応募者の志望動機をふとChatGPTに見せてみた。
(もちろん個人情報は含まずに)

そしたらすぐに「これはAIが書きそうですね。なぜなら・・・」と返ってきた。
私もAIに書かせたっぽいなと直感したからChatGPTに投げてみたんだが、論理的にAIに書かせた確率が高い理由を回答してきた。

AIで文章を書くことは悪いことだとは思ってない。
むしろ「どんどん使えばいいじゃないか」と思っている派だ。
昔あった「履歴書を手書きじゃないなんて誠意がない」という感覚と、
「AIを使ったら本気じゃない」という批判は、どこか似ている気がする。

大事なのは、AIを使ったかどうかではなく、
使ったうえでどれだけ自分らしさや想いを込められるかだ。

AIが書いた文章を、そのまま出すのか、
自分の経験や考えを足して、ちょっと手を入れて仕上げるのか。
その差って、読む側にはちゃんと伝わるものだ。

Web制作の仕事でも同じ。
AIを使えば、コードもデザインもあっという間に形になる。
でも、それが動いているからといって、本当に理解しているとは限らない。
AIに書いてもらったので微調整ができないなんてことが、これから増えそうな予感もする。

AIは、いわば強力な補助エンジン。
最初の一歩は助けてくれるけれど、それだけじゃ成長できない。

採用する側としては、「AIを使ったかどうか」よりも、
「どう使っているか」や「仕上げでどんな価値を加えているか」を見たいと思う。

AIが当たり前の道具になった今、
“人間らしさ”や“自分らしさ”は、もう初稿にはなくて、
最終稿の中にこそ宿る時代なのかもしれない。

【234本目】社内メルマガで橋を渡る言葉たち

2020年4月。
コロナの緊急事態宣言が出た直後、僕は毎月1日に社員向けのメールマガジンを配信することを始めた。
直接会えない日々の中で、社員が会社や将来に不安を感じているのは目に見えていた。
だったら、言葉で橋をかけてやろう。そう思ったのが始まりだった。

毎月3,000文字くらい。
経営方針や事業の状況を、なるべく正直に、前向きに書いた。
社員一人ひとりの机に、自分の声を置くような感覚で続けていたけれど、最初は「本当に読んでくれてるのかな?」という疑問もあった。

でも、ある日ふと気づいた。
会議や日々のやりとりの中で、以前メルマガに書いた言葉や考え方が、自然と社員の口から出てくる。
「ああ、橋を渡って言葉が届いてるんだな」と、妙に嬉しかった。

コロナが落ち着き始めたころ、会社はハイブリッドワークを基本にすることにした。
もう毎日顔を合わせるのが当たり前じゃない。
だから、このメルマガはやめなかった。
オンライン会議やチャットでは伝わらない背景や温度感を、文章ならちゃんと渡せると思ったからだ。

世の中では動画やSNSでの社内メッセージが増えているけれど、文章には文章の良さがある。
読む行為には「自分のペースで消化する時間」があり、一度文字になったものは何年後でも読み返せる。
そういう意味で、文字は時間にも強い。

まもなく70号になる。
100号まであと3年。そのとき僕は60歳だ。
会社も僕自身も、その頃にはたぶん変わっている。
でも、このメルマガという橋は、そこまで渡し続けようと思っている。
単なる社内報じゃなく、経営の思いを現場に届ける大事な橋だから。

100号を迎える日に、その橋の向こうにどんな景色が広がっているのか。
それを楽しみに、また来月1日の原稿を書き始める。

【222本目】生成AIと専門家の違い

先の投稿で紹介したが、自社の人事制度の新たな策定に挑戦している。

社労士で人事制度の策定に明るい先生に助力をお願いすることにした。
キックオフの打ち合わせでは、まずは1次案を私が立案してから先生に評価してもらうこととなった。
作り方は指導いただいたので、1ヶ月ほどかけて策定してみた。

その後、私が作った一次案を先生に送付前にNotebookLMに評価してもらった。
すると・・・抽象的とか目標設定が曖昧とか割と厳しいコメント。
「うわべでコメントもらってもな」といったんNOtebookLMを無視して先生に送付。

しかし対面で先生からもらった評価はNotebookLMとほぼ同じだった・・・
ただNotebookLMと先生の大きな違いは、課題をどうクリアするかの「やり方」を私たちのレベルに合わせて助言してくれたこと。

もし「やり方」を自分で考えられるなら・・・
生成AIとの壁打ちでも済ませることが増えていくのかもしれない。
特に自分の得意分野ならなおさら。

【221本目】経営者が後継者のために果たすべき3つの役割

会社を創り、社員を雇った経営者として後継者のために果たすべき役割。
以下の3つのタスクを50歳になる頃に数年以内に達成することを自らに課した。
1. 成長と持続可能性が期待できる新たな事業の創出
2. 業界内での独自性と競争力を持つ事業構造の構築
3. 成長を促進する納得のいく組織制度の整備

想定外はコロナ禍だったが、逆に落ち着いて1と2のタスクに取り組むことができた。
ポストコロナの新日常のもとで手応えを持って前進できている。
理不尽や失望にくじけなかったスタッフ達の頑張りのおかげ。

しかし3の内政面の整備が大きく遅れている。
昨年初めて実施した全社的なストレスチェックでも組織制度への不満が見える化された。

2025年の私の個人目標は「未来への礎づくり」に設定した。
タスク3を最優先で取り組んでいる。
組織制度の整備。
つまり人事評価の仕組みのバージョンアップでもある。
スタッフの成長を後押しし、役割分担しながら、公平で透明感のある評価制度。
人間の組織の永遠の課題だろうし、私自身が「これ」という明確な軸がないので大苦戦。
そこで人事制度にあかるい専門の先生に助力をお願いすることにした。

今年中には新しい人事制度を完成させ、試験運用を開始したい。
私の加齢による判断力鈍化の時間との勝負だ。

【208本目】過去10年間の個人目標を振り返ってみる。

私は小さな会社の経営者として生活の大半を過ごしている。
そのため毎年、年始に立てる個人目標は経営者としての目標とイコール。
いつから個人目標を立て始めたのが覚えていないが、振り返るのは年末だけ。
ふと思い立ち、10年間の目標を振り返ってみた。
すべてDayOneに投稿していたので引っ張り出すのは容易だった。
ありがとう!DayOne!

以下が10年間の個人目標一覧。

目標のスローガンをみると、当時のことがありありと思い起こされるのは意外。

  • 2025年目標「未来の礎づくり」
  • 2024年目標「適応する前進」
  • 2023年目標「挑戦と貢献」
  • 2022年目標「勇気ある前進と誠意ある深耕を」
  • 2021年目標「現在を深化させ、未来を探索する」
  • 2020年目標「新しい出会いと共感を作る行動を」
  • 2019年目標「踏み越える勇気と行動を」
  • 2018年目標「仲間への信頼を」
  • 2017年目標「頼れる個人が協働する頼れる組織へ。コアサービスを確信的提案へ」
  • 2016年目標「Sharpen & Reloaded」

2016年~2018年目標

  • 2016年目標「Sharpen & Reloaded」
  • 2017年目標「頼れる個人が協働する頼れる組織へ。コアサービスを確信的提案へ」
  • 2018年目標「仲間への信頼を」

この時期は小さなWeb制作会社にも関わらず自社開発CMSをリリースし、提案を進め始めた時期。2016年目標の「Sharpen & Reloaded」はそんな挑戦への心意気だったと思い起こされる。それまでのひたすらWeb制作を行い、更新サポートのみを行う労働集約型構造から労働集約+サービス提供の混合構造に変革し始めた。 それに伴い、組織構造も大きく改変。大きな戸惑いを抱えながら前進を続けた。
個人目標はそんな時期の前進の旗となった。

2019年~2020年目標

  • 2019年目標「踏み越える勇気と行動を」
  • 2020年目標「新しい出会いと共感を作る行動を」

2019年時点では、自社開発CMS+Web制作に自身を深め、新規顧客開拓の議論を始めた。ビジネスショーへの出展も具体的に構想していた。またスタッフ都合によるテレワーカーも生まれたことで、ハイブリッドワーク環境が準備されていた。

そんな中、2020年春に到来したコロナ禍。
2020年目標は2019年までの自信を胸に外へ挑戦を行う想定の目標だった。しかし2020年秋まではスタッフも会社も生き残ることが最優先で目標達成どころではなかった。 ただ今振り返ると、やはり目標を立てたことで、毎日厳しい判断を迫られた自分の指針になっていたことに気づかされる。
コロナ禍ではじめた社内向けメルマガは対面できない会社と社員間の共感を作るためにはじめ、今も続いている。ビジネスショーへの出展計画は取りやめとなったが、秋には新規事業分野の挑戦を開始。
オンライン会議を活用すれば、新規開拓=新しい出会いを実現できることも確信できた。

2021年~2022年目標

  • 2021年目標「現在を深化させ、未来を探索する」
  • 2022年目標「勇気ある前進と誠意ある深耕を」

コロナ禍が日常化&長期化を見通された中での個人目標になる。
2021年目標「現在を深化させ、未来を探索する」は既存顧客をWeb制作支えつつ(収益もあげつつ)、新規分野としたアカデミア系に挑戦する1年するつもりだった。 既存顧客はともかく、新規分野はオンライン/非対面が基本となる。もし、オンライン/非対面での新規開拓できるなら、コロナ禍後も展開できるとの期待もあった。

2022年目標「勇気ある前進と誠意ある深耕を」は2021年でのオンライン/非対面ので可能性に手応えを得たことで、組織的にできることを全て挑戦する意思表明だった。
コロナ禍が続く以上、経済は不活性が続くのだから、今のうちにポストコロナの種まきをする経営的な判断でもあった。一方、コロナ禍で疲弊した既存顧客には売上より寄り添ったWeb活用の提案を進めることにした。

2023年~2024年目標

  • 2023年目標「挑戦と貢献」
  • 2024年目標「適応する前進」

2023年は不意に「コロナ禍は終わり」となった。既存顧客を応援する貢献をしようとオンライン発信を様々に開始。また新規提案も担当者ごとにバラバラだったが全社で知見を集めた基本提案を練り上げ、オンライン提案を広げていった。 コロナ禍中にはじめたアカデミア系への新規提案は組織的にアクセルを踏み込む判断を行った。ポストコロナは既存顧客と新規開拓の2軸展開を本格化させる意思表明だった。

2023年の挑戦は前進と失敗が厳しくない交ぜだった。要因はコロナ禍中に始めた構想には現実との乖離があったためだと評価した。そのため2024年目標を「適応する前進」とし、ポストコロナの現実に「適応」し成果を追求することとした。あわせて組織も「適応」させるべく大きな改編を実施するつもりで1年間に臨んだ。結果的に「適応」を行い、成果もあげ2024年を終えることができた。

2025年目標

2025年目標「未来の礎づくり」
2016年から2024年までを振り返ると、コロナ禍をはさみ内外の環境は大きく変貌したものの、Web制作の知見を大切しつつ、自社サービス開発&提供という事業構造の転換はコロナ禍が加速した。また2019年時点では見えていなかった新規開拓の戦術はコロナ禍がオンライン/非対面を強要したこと。考える時間がとれたこと。などから2021年からは明確な戦略、戦術で今日まで推進することができている。

さて私自身については現在55歳。45歳から始めた個人目標はコロナ禍も乗り越えて、ここまでたどり着いた。そろそろ自社が継続する未来を示し、顧客にも働くスタッフにも安心を提供する責任を感じている。

そのため2025年目標は「未来への礎づくり」とした。
この目標の「未来」には私は含まれないだろう。
だからこと創業者として可能な礎づくりに力を尽くす1年としたいな。

【204本目】私の50代前半は。

12/28。無事に自社の仕事納めを迎えた。

弊社の事業年度は7月から6月なので、12月は上半期の終わりとなる。

そのため仕事納めの日に上半期の事業進捗をスタッフに報告する。

ポストコロナが2023年に実態として始まり、2年目でもある。

結果としてはとても明るい報告を共有することができた。

コロナ禍中に始めた事業構造の改革が山あり谷ありではあったが、きちんと回り始めたと言えそうだ。

2020年はコロナ禍からスタッフと会社を守り、2021年からポストコロナを見据えて、事業構造の変革を開始。見つけてもらえるようDIYマーケティングと独自サービス開発。

働き方はハイブリッドワーク中心に移行しつつ残業を減らし、効率を高めた。

コロナ禍の緊張感のもと進めた改革は、結果的にしんどいことも多かったし、別れもあった。しかしこうでなければ、スタッフが信頼できる未来は描けなかった。

今、私は55歳。ふと振り返ると、50代前半は経営者としてコロナ禍と闘いながら過ぎていったのだろう。

年末だからそんなことをツラツラと。

【194本目】経営者の出社がもたらす安心感

私が経営する会社は、基本はハイブリッドワークで働いてくれている。コロナ禍をきっかけに始まったハイブリッドワークだが、ワークライフバランスが良いようで定着することになった。

一方、コロナ禍に挑戦した自社の事業構造の変化が進むに伴い、スタッフたちは未知の悩みを抱えるようになってきた。

小企業なので、未知のことは気軽に経営者の私に相談。すれば良いのだが・・・

私も週2日はテレワークしていたので、具体的でもない相談がしづらい環境を作っているのではないか?と感じることがあった。

そこで試しに2週間ほど毎日出社してみると・・・
まぁ相談やら気になることやらくるわくるわ。
私も表情や雰囲気を見て声をかけることも増えた。

経営者の私が毎日出社しているなら、スタッフは自身の出社時に相談できる安心感につながっているようだ。

現在の大きな事業構造の転換が続く間は、私だけテレワークをしない判断をした。
・・・とはいえしんどい時はたまにはね。

【193本目】中小企業ののんびり確実な採用活動

中小企業の採用活動が苦労しているのは、どこの業界でも似たようなものだろう。

とは言え、私の属するIT業界はしょくしゆによりまだマシと見られるかもしれない。
ただ、同業者がウヨウヨで有料媒体に出してもなかなか苦労する。

そんなわけで、どうせ応募が少ないなら、自社サイトで発信して気長に待つ方が良い。と10年くらい前に舵を切った。

プランユーケー採用サイト

自社サイトには、面接でよく聞かれること。入社したスタッフが就活中に気にしたこと。などを盛り込んだ。

その結果、Webデザイナー、コーダーは全て自社サイトから採用できるようになった。

もう10年は有料媒体は使っておらず、ハローワークを使うくらいだ。ハロワ経由の応募者も自社の採用サイトを見て応募してくれるので、応募が少ないと言われるハロワ採用でも効果を発揮している。

そして、今度は数年ぶりにWebプログラマーの採用をすることになった。

Webプログラマー募集の自社サイトはないので、立ち上げることにした。
早速、同業他社の採用ページを探してみる。

世の中でWebプログラマーは不足しているので、各社が競うように発信してると思っていたのだが、、、

意外や簡単な募集要項だけだったり、使う言語は書いてあるけど具体的な仕事が書かれてなかったり、、、

おそらく専門の有料求人サイトに出稿するのが採用ルートになっていると思われた。

なら、逆に自社サイトにきちんとしたWebプログラマー募集ページ群を作ればチャンスがあるかも。

中小企業だからこそ、採用は自社で立ち上げるべきだと思うんだよなぁ。
応募が少ないからこそ。

【191本目】権力の快楽を捨てること

お世話になってきた上の世代の方々が段々とリタイアしつつある。
ここまで声をかけてくださったことに感謝もあり、さみしい気持ちもあり。

ただ権力をお持ちの立場から去った後も、権力を持っていた頃の上下関係を
所属している(た)組織に求める場面も散見する。

思い起こせば昔からそういう場面をみるのは大企業で上層部や経営層になった方に多かった気もする。

それはどう考えてもうまくいくはずもない。指示をして「やらせる」姿勢だから。そして、自身が若かった頃のように現場をやるのも難しい。
体力的にも現場の知見的にも。

そういう姿を見たり、自身も巻き込まれたりすると悲しくなるのだが、私も10年以内に同様の振る舞いになる可能性がある。

権力の快楽はすっぱりと「捨て去らなければ」と強く想う機会になっている。

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