【3本目】「西田哲学を開く――〈永遠の今〉をめぐって」小林 敏明著

年末に値引き販売していた岩波文庫を数冊購入。その中に紛れていた「西田哲学を開く〜永遠の今」。

一昨年に藤田正勝先生による西田幾多郎の社会人向け講座を受けたことがあるが、今ひとつピンと来ていなかった。

しかし、この本では「善の研究」から始まる「純粋経験」の西田の探求について、実存哲学から心理学などから読み解いていってくれる。

まるで推理小説か探検小説のように著者の見立てる「純粋経験」について導いてくれる。西田幾多郎の著作で頻出する造語が一文の中で繰り返されたり、重ねたりの理屈が見えてくる。

すごくスリリングで、年末年始の数日で読み切ってしまった。読み終えた後も知的な余韻を楽しんでいる。

特に純粋経験と時間の流れとの関係において、瞬間=現在に過去も未来も凝集しているという見立て。

自分が今抱えている個人的な問題意識に刺さってきた。

本当におすすめの西田哲学の解説書だと思う。

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